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ニューヨーク滞在記

2016.07

「観光では味わえないNY体験記」

                        47年卒 政治学科 神山 光路

3年前、息子がニュージャージーに転勤して以来、毎年夏に2週間、アメリカ旅行をしてきました。ニュージャージー州はハドソン川を挟んだNY州の隣で、日本企業による北米進出の拠点のようなところです。マンハッタンから車で1時間の近さに息子が勤務するオフィス、そして自宅があります。鬱蒼とした大自然の中に企業のオフィス、閑静な住宅が点在し、鹿、ウサギ、リスを裏庭に面した窓越しに毎朝見るような環境です。7月4日の独立記念日の頃には蛍が大発生し、家にいながら毎晩、蛍見物をしながらビールを飲むという、至福のひとときを味わっていました。今年は初めてコヨーテが出没し、息子の友人の小型犬が襲われ食われてしまったとか。


 
毎朝裏庭に元気な姿を見せるリス

   

 警戒心が強いウサギも裏庭に!


さて、私流の2週間の長期滞在型・観光旅行の1日は家族そろっての朝食から始まり、息子は車で5分のオフィスに出かけ、双子の孫たちは車でやはり5分もかからない、地元のプレスクール(幼稚園前の子供を対象)に出かけます。アメリカはご存じのように徹底した車社会なので、子供の送り迎えはスクールバスか親が車で送迎するかのいずれかで、日本のように徒歩による集団登校風景は見られません。子供の安全にことのほか神経を使うカルチャーのためでしょう。  

万が一子供が独り歩きしていると、それを見た大人が警察に通報し、即パトカーが駆けつけ子供を保護する、アメリカはそんな社会です。スクールバスはNYのイエローキャブ同様、目立つ黄色に統一されて、後続の車は停車しているスクールバスを追い越すことが禁じられています。交通ルールの基本中の基本だそうです。

私は滞在中、毎日、息子の嫁の車に同乗して双子の孫をプレスクールに送り届けるのが日課になっています。アメリカ人の中にぽつんと放り込まれた孫たちは、当初はずいぶん子供心に心細かったようですが、今では流暢な発音で英語でコミュニケーションをとるようになりました。私は規則で教室に入れないので窓越しに授業風景を見ていましたが、教室内は自由の国、陽気なアメリカらしくカラフルな遊戯用具などが豊富にあって、楽しく遊びながら学ぶ、そんな配慮と工夫を感じさせます。日本のそれとはずいぶん違う印象です。


スーパーのレジ風景




小ぶりだがメロンの驚きの安さ


   
さて孫を送り届けた後は夕方のお迎えの時間まではフリーなので、息子の嫁の買い物に付き合って、アメリカ独特の半円形型のショッピングモールや全米で人気のオーガニックスーパー「トレジャージョーズ」(TRADER JOE‘S)など、ツアー観光では経験できないショッピング体験をしてきました。アメリカの店舗は概して広く、品ぞろえが豊富で、何を買うべきなのか迷うほどです。同一商品が棚単位で揃っているので、その違いが分からないというのが本当のところです。それと日本では最高級のチョコレートとして売られているベルギーの「ゴディバ」はこちらではスーパーや書店で普通に手ごろな価格で売られています。日本ではもったいぶった箱に鎮座まします「ゴディバ」ですが、馬鹿らしくて日本では買う気をなくします。 

買い物で一つ驚かされたことがあります。それはアメリカの商慣習「リターンポリシー」という制度です。ありていに言えば生鮮食料を除くほぼすべての商品を返品できる制度です。しかも返品の理由は店から全く問われません。例えば服を例に挙げれば、家に持ち帰り試着して鏡の中の自分を見たら、気にいらなかったとします。たとえそれが下着でも何の問題もなく堂々と返品できます。また高価なパソコンを買い、使い始めたらどうもしっくりこない、そう感じたら別な製品に交換することもできます。返品の際は原則、レシートを添えるという決まりですが、失くしても問題ありません。店によって多少返品ルールは異なりますが、90日以内の返品可能な緩いルールです。さらに驚くことは、誕生日やクリスマスギフトとしてもらった品物も、それ専用のレシートが付いているので、贈り主に後ろめたさを感じることなく返品できます。

消費者にうれしいこのルールですが、「アメリカ人は合理的でドライだから」こうしたルールが考えだされ、根付いたように思われます。実はその反対で、アメリカの消費者は気持ちよく返品に応じてくれた店を贔屓にして、その後も常連客に定着してくれるので、店側にも大きなメリットがあります。そのため返品ルールがアメリカ社会に定着したと考えられています。つまりアメリカ人は買い物に関してはとても「ウエット」だということなのでしょう。

昼食はショッピングのついでに、ハンバーガーやピッザの店で外食する機会が多くなります。バーガーショップはマクドナルドのようなナショナルチェーンの他に、地場の人気バーガーショップが必ずあります。バーガーの大きさは日本のそれよりはるかに大きくて、フライドポテトの量もしかりです。意外かもしれませんがアメリカ人は実はピッザが大好きです。ピッザ専門の店が目立ち、どの店も味の水準はかなり高いように感じました。そしてその量はバーガー同様、食べきれず、食べ残しは店員に言えばどんな店でも持ち帰り用にパックしてくれます。マンハッタンの小籠包が評判の店で、ついでに頼んだタンメンが想像以上にまずくて大半を食べ残したら、店員に「包んで持ち帰るか?」と言われました。丁重にお断りしましたが、店を出た後、どういう具合にパックするのだろうか、つゆをすった麺はさらにまずくなるだろうなと、店を出た後、ふつふつと疑問が湧いてきました。

毎年、滞在中3~4回ほどマンハッタンを息子の嫁さんに車で案内してもらってきましたが、交通渋滞がなければ自宅から1時間ほどでたどり着きます。ニュージャージーとマンハッタンを隔てるハドソン川には世界一交通量の多い橋、ワシントンブリッジが架かっています。この橋が事故で渋滞すると、南の迂回路としてリンカーントンネル、さらにその南のホランドトンネルを利用します。これら、橋やトンネルを利用するためには15ドルの通行料がかかります。

往復すると30ドルなので結構な値段です。頻繁にマンハッタンを往復する人は、ゲート手前の道路でヒッチハイクする人を同乗させ、人数に合わせた割引料金の適用を受けています。この行為はれっきとした違法行為にあたりますが、運転手が通行料の一部をヒッチハイカーに要求しているかどうかは判然としません。

次回はマンハッタンの様子を中心に取り上げる 予定です。

 

生地の厚さ、大きさに圧倒される


マンハッタン・リトルイタリーの人気店内


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